株式投資にも使える?
さて、前回は「AIに何を訊いてみる?」と題して、その例として、PCやスマホに関わる使い方等を扱いましたが、序でにもう1つ紹介いたしましょう。それは「株式投資」についてです。
とはいえ、いきなりAIに「株式投資で儲けたいのだけど、どの株を買ったらいい?」と訊ねたとしても、「○○です!」と特定の銘柄を答えることはまずない。たいていは「どの株が上がりそうかよりも、あなたがどんな株なら持ち続けられるかを考えましょう。投資期間、使える金額、どの程度の下落なら耐えられるか、配当重視か成長重視か。この4つで候補はかなり変わります」と、こういった方向の回答になる可能性が高い。具体的な銘柄(会社の株)を示して、「この株を買っていい?」と訊いても、保有目的やリスク許容度を聞かれたうえで、「この条件なら検討してもよいかもしれません」くらいの答えに落ち着くことが多いだろう。
そこで、まずは、気になる特定の株式銘柄について「この会社は何で儲けている会社なの?」「この会社の強みとリスクを整理して」などと訊ねるといい。より具体的に「有価証券報告書のこの部分を初心者向けに説明して」「この決算短信を読んで、前期から大きく変わったところを教えて」といったことを訊ねると、その銘柄を買うべきか否かの判断材料は増えてくる。さらに、「配当性向、自己資本比率、ROEって何を見る数字なの?」といったことを訊ねてもいい。投資初心者であれば、株式投資にまつわる「PER」や「PBR」「成行」といった専門用語について訊ねてみるのも、極めて有益だ。
そして、100ページを超える有価証券報告書を読むのはなかなか辛い作業といえる。しかしAIを利用すれば、「事業上のリスクを抜き出して」「海外売上比率を確認して」「営業利益が増減した理由を整理して」と頼める。最終判断は人間がするにしても、下調べの負担は相当に減らせる。
ただ、AIは、ときどき数字を間違えることがあるので注意して欲しい。今日の終値を訊ねているのに、前日の終値を返してきたりすることがあった。真剣に株式投資に臨もうというのであれば、やはり、その程度は自分で確認する必要はあるだろう。つまり、ここでも、AIに100%正解を期待してはいけないということだ。
つまり、AIに投資判断そのものを任せるのではなく、投資判断のための調査・整理を手伝わせるという訊き方、使い方がよいでしょう。
もっとも「買うべきか買わざるべきか、はっきりしてくれよ」「いや、俺は、○○は買えば絶対に儲かると思う。~だからだ」など、AIと議論してみるのも一興です。実をいうと、私は似たようなことを年中やってます(苦笑)
使用量の限界と「トークン」
しかしです。そんなことを長々と議論をしていると、AIの使用量が上限に達してしまうことがあります。使用量の上限、これはなかなか切実な問題です。
この使用量の限界の説明をする前に、まずは、AIが文章を処理するときの単位である「トークン」について簡単に説明します。
「トークン」とは、AIが読み書きするときに消費する処理量の目安になる単位です。AIは、私たちが入力した文章を、そのまま一文字ずつ読んでいるわけではありません。文章をいくつかの細かな単位に分けて処理しています。この単位を「トークン」と呼びます。1つのトークンが必ず一文字や一単語に対応するわけではなく、日本語の場合も文章によって分かれ方は変わります。そのため「1000文字入力したから1000トークン」というような単純な計算にはなりません。そして、私たちが入力する文章だけでなく、AIが回答として出力する文章にもトークンが使われます。先ほどの有価証券報告書のような長い文章を読ませたり、長文の詳細な回答を求めたりすれば、それだけ多くのトークンが処理されている、と考えておけば十分でしょう。
このように、AIとのやり取りでは、読み書きの両方で処理が発生します。この処理されるトークンの量が、AIの使用量に大きな影響を与えます。ただし、利用上限は単純にトークン数だけで決まるわけではなく、使うAIや機能、会話の長さなどによって、その数え方や制限の仕方が異なります。
ここでは、Claudeを例にしましょう。Claudeには、5時間単位の上限や1週間単位の上限があります。どこまで使ったか、いつまた使えるようになるかは、利用量の表示や上限に関する通知で確認できます。
使用量の上限に達すると?
それでは、使ってるAIの使用量ないし利用量が上限に達すると、そのAIはどうなるのでしょうか。実は、その使用量の上限に達したときの挙動は、AIによって違います。
Claudeでは、使用量の上限に達すると、基本的には、上限がリセットされるまで会話はできなくなります。5時間単位の上限を使い切ったなら、数時間後の次のリセット時刻まで、1週間単位の上限を使い切ったなら週の利用枠がリセットされるまで、つまり回復するまで待つことになります。リセット時(回復時)は画面に表示される再開時刻等で確認するとよいでしょう。
これがChatGPTだと少し違います。普通のテキストチャットなら基本的に会話を続けられます。ただし、画像やファイルをアップロードしたり、データ分析をさせたりする機能にはトークンとは別の利用上限があり、その上限を超えるとそれらの機能が一時的に使えなくなることがあります。ChatGPTの場合、トークンによる使用量の上限は、チャットではなく、後に説明するAIエージェント機能であるWorkに関わってきます。なお、Geminiも、利用上限に達した後、別のモデルで会話を続けられる場合があります。
こうした使用量の上限が具体的にどの程度のものかは、一概にはいえません。使うAI、話す内容や会話の長さ、ファイルを扱うかどうかなどによってもかなり違ってきます。だからこそ、ここでも「習うより慣れろ」なのです。まずは使ってみて、自分の使い方ではどのくらい利用できるのかを体感してみるのが一番でしょう。
さて、使用量の上限という話をしてきましたが、やはり次は、もっと使いたいという方のために、課金について考えてみることにしましょう。さらに、先ほどちらりと触れたAIエージェント機能についても。
(コラムAI編第7回 終わり)